眠りたいのに眠れない…という症状に悩み始めたとき、「ドリエル」を飲んでみようかなと思ったことはありませんか?
2003年の発売以来、日本人にとっては馴染みのある、ドラッグストアで買える睡眠薬として現在まで広まっています。
睡眠薬というと過剰摂取で死亡することもあり、精神科でしか手に入れることができないというイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
現在、不眠症の治療に用いられている睡眠薬は安全性が高くなっていて、大量に飲んだとしても死に至ることはありません。
さらに市販薬は医師の指導が介入しない分、副作用のリスクは極めて低く作られています。
ドラッグストアで自分で選んで買える睡眠薬は、正確には「睡眠改善薬」と言って医療用の睡眠薬ほどの作用は持っていません。
市販の睡眠薬、きちんと効く?
病院へ行かなくても買える睡眠薬に、どれほどの効果があるのでしょうか。
誰でも買えるなんて、たいした効果がないんじゃ…と思っている人もいるでしょう。
睡眠薬の市販品について、どういった成分でできていてどんな効果が期待できるのかを考えていきましょう。
OTC医薬品とは
ドラッグストアや薬局で買える薬のことを一般医薬品と言います。
対面販売で購入する意味の「Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)」を省略して、OTC医薬品という呼び方も広まってきました。
OTC医薬品には、さらにこまかいカテゴリーがあります。
作用や副作用について特に注意が必要なもので、薬剤師による販売と情報提供が義務づけられているものを第1類医薬品、注意は必要だけど薬剤師ではなくても販売できて、情報提供は努力義務に留まっているのが第2類医薬品、1、2類以外のものは第3類医薬品とされています。
また、OTC医薬品として市場に出たばかりのものは慎重に販売しなければならないので、要指導医薬品として薬剤師による情報提供が必要です。
ドリエルのような睡眠改善薬は、第2類医薬品としてドラッグストアやネット通販で購入することができます。
処方薬と市販薬、睡眠薬としての差は?
睡眠改善薬は、医療用の睡眠薬とは有効成分が異なります。
処方薬は、医師の診察によって患者それぞれの症状や頻度に合わせて選ばれ、とくに脳内の神経伝達物質に作用するベンゾジアゼピン系と呼ばれる薬が多く用いられます。
成分が身体に入ってから抜けるまで、つまり効果の現れ方や持続時間は薬によって差があり、患っている不眠のタイプによって使う睡眠薬は異なります。
睡眠改善薬は個人のコンディションに合わせて選べるものではないので、一時的で軽度な不眠の改善を目的としています。
眠気を促がすのは、ジフェンヒドラミン塩酸塩という抗ヒスタミン剤。風邪薬やアレルギー薬にも含まれている成分で、脳を覚醒させるヒスタミンの作用を抑制することで、自然な眠気を起こそうとするもの。(※「市販薬のパイオニア!ドリエルはどれくらい効く?」)
鼻炎薬を飲んだときに眠くなってしまうのと同じ働きなので、睡眠薬として効果がある!と感じる人もいれば、期待したほど眠れなかった…というケースもあり、個人差によるところは大きいと言えます。
市販の睡眠薬はドリエルだけ?
手軽に買える市販の睡眠薬には、ドリエル以外の商品も数多くラインナップしています。
抗ヒスタミン作用で眠気を誘うものでは「ナイトール」や「ネオデイ」「リポスミン」などがあり、薬局だけでなくアマゾンや楽天などの通販サイトでも人気を集めています。
また、ジフェンヒドラミン塩酸塩以外の成分で睡眠を促そうという市販薬もあります。
ウット(ブロモバレリル尿素)
伊丹製薬から販売されている「ウット」という商品は、鎮静剤として第2類医薬品に分類されています。
主成分はブロモバレリル尿素で、脳への催眠・鎮静作用によって不安や緊張を和らげる効果があります。1900年代前半には医療用睡眠薬として用いられていたことがある成分です。
ウットにはブロモバレリル尿素だけでなく、ドリエルの主成分・ジフェンヒドラミン塩酸塩も含まれているので、抗ヒスタミン系の睡眠改善薬よりも強い睡眠効果を感じる人も。
市販薬の中で最強の睡眠薬というポジションをとっているのがウットなのです。
しかし、ブロモバレリル尿素は依存性が高いというデメリットがあり、薬物依存を引き起こす可能性も。OTC医薬品ですから過剰な心配をする必要はありませんが、商品に記載されている使用上の注意に従って服用することが大切です。
漢方
体に負担をかけずに自然な睡眠がほしい、夜になると眠くなるという正常な身体機能を取り戻したいと考える人には、漢方での体質改善がおすすめです。
漢方は身体の不調を治していくもので、飲んだから今夜から眠れるという作用はありません。
長期的に服用を続けることで不眠の原因を解消して自然なかたちで眠りへと導く、身体の中からじっくりと治していくというタイプの薬です。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
イライラして落ち着かないタイプの人の不眠症や神経症に
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
精神不安がある人で高血圧の随伴症状による不安や不眠、神経症に
・加味帰脾湯(かみきひとう)
体力が落ちている人や疲れやすい人で、心身が疲れて精神不安や不眠に
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
体力が落ちている人、疲れやすい人の精神不安や眠りが浅いタイプの不眠に
・帰脾湯(きひとう)
身体が弱い人で血色が悪い、心身が疲れている、不眠、精神不安などに
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
体力が落ちている、身体が弱い人で精神不安、神経症、不眠症に
・抑肝散(よくかんさん)
イライラしやすい人、神経が高ぶって起こりやすい人の不眠症、神経症に
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
体力が落ちている、貧血気味、冷え性、神経過敏などの不眠症、神経症に
漢方は毎日欠かさず飲み続けることで体内から不調を改善していくものですから、気長に服用を続けていきましょう。
また、食前や食間など空腹時に服用するほうがより効果が得やすいと言われています。